コウモリは、人間にとっての害虫を捕食してくれる意味では益獣ですが、屋根裏や天井裏に住み着いてしまうと、糞や尿によって天井に汚れが出来たり、悪臭も伴う害獣となります。
また、コウモリにはほとんどの場合、ノミやダニが寄生しているため、家屋のどこかで死んだ場合、ダニの異常発生やバイ菌の増殖も考えられます。
コウモリの存在は、このような深刻な被害をもたらします。

コウモリの繁殖時期や習性を正しく把握し、駆除計画に役立てましょう。
しかし、コウモリは「鳥獣保護法」で指定されている保護動物のため、捕獲や殺傷はできません。
そのため、駆除と言っても「追い払う」だけになります。
駆除したい場合は、コウモリの扱いに慣れた専門業者へ依頼しましょう。

目次

繁殖時期と、基本的な習性

日本で活動しているコウモリは30種ほどいますが、家屋や高架下などの人口的な建物へ住み着くのは、ほとんどがアブラコウモリ(イエコウモリ)です。
山間部や洞窟には住まず、都市の市街地など、平野部で広く生息している、人のそばで生きているコウモリです。

アブラコウモリは体長わずか4~6cmで、体重も5~10g程度ととても小さいものです。
そのため、1.5cmほどの隙間があれば楽に侵入することができます。
この小さな体を生かし、家屋の換気口や壁の隙間から入り込み、天井裏など雨風がしのげる暖かい場所に住み着きます。

11月半ばから翌春までは冬眠をし、春から秋にかけての比較的暖かい季節に活発化します。
夜行性のため、昼間は住み家でぶら下がって休み、夕方以降から飛びまわり、蚊や蛾などの虫を捕らえて食べます。

コウモリの繁殖時期は7月~8月です。
交尾は冬眠前に行われますが、出産は初夏~夏の間です。
コウモリの繁殖の特異な点として、交尾後メスの体内に入った精子はすぐに受精しないよう保存することができる点でしょう。
これは、エサとなる昆虫が最も多く発生する夏に出産し、子育ての間、エサの確保で困らないようにするためです。
子供は1ヵ月ほどで飛べるようになり、間もなく1人立ちします。
1回で出産する子供の数は2~3匹とそれほど多くないため、あっという間に大量に殖えることはありません。
しかしコウモリの侵入に気づかず、数年のうちに100匹を超えるような群れが出来た事例もあります。

基本的には冬眠前に交尾し、夏にだけ出産するという生態ですが、近年の地球温暖化現象の影響を受け、コウモリの繁殖も活発化しています。

自ら捕獲・駆除しようとするのは危険

コウモリは一度住みかと決めてしまうと、駆除しない限りずっと住み続け、積極的に引っ越しをすることはありません。
生命力が強く、オスは3年、メスは5年程度と、身体の割に長生きのため、数年かけて同じ場所で大所帯を構えることもあります。

コウモリには多くの菌や寄生虫、また、病原菌がついています。
直接接触しなくても、長く住み着かれれば人にとって害となります。
特に病弱な人や乳幼児、妊婦などには極めて有害です。

コウモリの被害で最も多いのは糞害で、糞の中にはカビ菌やその他のバイ菌が多く存在しています。
糞を放置しておくと、乾燥によって含有している菌が空気中へ飛び、やがては住人が吸い込んでしまいます。
事態がここまで進んでしまうと、糞害によって感染症を起こす可能性も出てきます。

コウモリに関する知識や駆除経験、万全の装備を持っていない素人では、コウモリに手出しするのは危険と言えます。

まとめ

コウモリは夏に子供を産み、11月頃まで活動を続けます。
駆除するとしたら、子供が生まれ巣立っていく夏から初秋頃は避けるか、もしくは慎重に行いましょう。

コウモリの身体や糞には病原菌や寄生虫が含まれるため、自分で駆除しようとはせず、専門業者へ依頼しましょう。