コウモリにも生活サイクルがあり、活発に活動する時もあれば、動きが鈍くなる時期もあります。

駆除する場合は、コウモリの生態をよく知ってから対策を練った方が、より効果的な対処が出来るでしょう。
今回は、コウモリの生態と、そこから分かる駆除に適した時期について解説します。

目次

アブラコウモリの基本的な生態

民家に侵入するコウモリは、ほとんどの場合がアブラコウモリ(別名:イエコウモリ)です。
ここではアブラコウモリの生態に絞ってご紹介します。

  • ・身体の特徴
    体長は5cm前後と小さく、身体は黒褐色をしています。
    哺乳類では唯一、鳥のように空を飛べる動物でもあります。
    別名を天鼠(てんそ)や飛鼠(ひそ)と言われるように、ネズミのような顔をしています。
    大きさや色合いから、大きいゴキブリや蛾などと間違われることもあります。
  • ・生息域
    山間部よりも平野部に多く生息し、人間と近い場所で生活しています。
    主に建物の軒下や天井裏、高架下や橋の下などを巣とします。
    気温が25度以上、湿度は40%以上あり、光の当たらない場所を特に好みますので、都市部に多く生息しています。
  • ・行動時間・期間
    夜行性で、昼間は寝ています。
    夕方頃から動き出し、昆虫などを捕食して巣に戻ります。
    秋ごろからは冬眠し、春になれば目覚めて活動を再開します。
    しかし、冬眠期間でも個体によっては活動することがあります。
    コウモリは外気温が上がると、代謝が上がり目覚めてしまうためです。
    熊などのように、途中で目覚めることなく一定期間眠り続ける動物とは異なる面があります。
  • ・餌
    主に蚊や蛾、ハエなど小さな昆虫類を捕食しますが、果物や野菜、肉や花の蜜など何でも食べる傾向があります。
    人にとって害虫とされるゴキブリや蛾、蚊や蜘蛛なども食べるため、益獣とされる一面もあります。
  • ・寿命や繁殖時期
    アブラコウモリの寿命はおよそ1年~5年ほどです。
    身体の大きさからすると比較的長寿である部類に入ります。
    オスの平均寿命は1~3年程度、メスの平均寿命は5年程度と、メスの方が圧倒的に長く生きます。
    コウモリが出産するのは初夏ですが、交尾をするのは冬眠前の秋です。
    子供を産むエネルギーが必要なこともあり、餌である昆虫が最も多くなる夏頃に出産するよう、受精のタイミングまでが調整されています。
    一度に産む子供は1匹~3匹です。
    それほど多くはありませんが、世界的な温暖化の影響によりアブラコウモリの繁殖力は強くなっています。
    オスは単独で生きることが多いですが、メスと子供が中心となる数家族が群れを作り共に生活することもあるため、50匹~200匹の大きい群れが出来る場合もあります。

駆除に最適な春

コウモリの駆除には、最適な時期があります。
下記の時期を狙うなら成功しやすいでしょう。
理由も解説します。

・春
コウモリの駆除は、侵入場所からあぶり出してから、または夕方に飛び立った後で入り口を塞ぐ方法が一般的です。
しかし子供が生まれてしまった後では、親が飛び立った後に子供が残され、入り口を塞いでしまえば子供は中で死んでしまいます。
天井裏や換気口などに死骸が残ったままだと、寄生虫や菌の繁殖など衛生面で深刻な問題を残してしまいます。
多くの場合、コウモリは人の手では取り除きにくい場所に巣を作りますので、死骸を取り除くことも困難になるでしょう。
このような理由から、冬眠から目覚めた後であり、出産時期である初夏~盛夏の前である春が、駆除に最適な時期と言えます。

逆に、駆除に向かない、避けるべき時期があります。

・冬眠時期
コウモリは秋に交尾し、その後冬眠に入ります。
11月頃から3月頃までが冬眠時期となります。
この期間でも活動している個体が若干ありますが、基本的には体力を温存するために冬眠している状態ですから、動きはあまり活発ではありません。
この時期は夕方に巣を出ていくこともなくなり、燻煙剤などであぶり出そうとしても中々反応しなくなります。
もういなくなったのかと思って入り口を塞いでしまうと、中で閉じ込められたコウモリが死んでしまいます。
前述のように、取り除きにくい場所にある死骸は傷み、雑菌繁殖の温床となってしまい、人に悪影響があるため、冬眠時期の駆除は避けるべきです。

まとめ

コウモリの駆除を成功させるには、駆除対象であるコウモリの生態をよく知り、最適な時期を見極めることが大切です。

コウモリは鳥獣保護法の指定動物であり、駆除とは言え捕獲や殺傷は出来ないため、駆除するには追い出して入り口を塞ぐ方法のみになります。
そのため、適していない時期と適している時期があります。

早く駆除したい気持ちは無理もないことですが、死骸残留などによる二次被害を防ぐためにも、最適な時期にのみ駆除をしましょう。